このブログでも何度か話題にしていますが、7年前の5月31日にAPPLEは閉店しました。もうすぐあの日がやってきます。もう7年も前になるんですねぇ・・・あの日のことはまだ鮮明に覚えています。あの頃はAPPLEは自分にとってはなくてはならない場所で、無くなってしまうことなんて考えられなかったんですけどね。でも、ある意味、あの場所の代わりになっているところなんて今でも見つかっていないんじゃないかって思っています。
当時、自分が忘れないようにと書いた「最後の日」レポがあります。何人かの人にはメールなんかで送ってたりしたけど・・・もう7年も経ったし、せっかくこうしてブログってのもあるわけだから公開しても良い頃かなと思ったので興味のある方は読んでやってください。長文になるので覚悟して読んでください(笑)
レポは当時書いたままですが、実名が入っている部分は修正しています。
「THANK YOU APPLE 1976-2000」
タイトルの意味・・・これは、hydeがアップル閉店記念にと自らデザインをし発注をして5月31日の数日前に送られてきて、100個限定で配布された金属製のライターに刻まれていた文字です。THANK YOUの文字は、hydeがデザインしたりんごのイラストの中に書かれています。これを見ていると、hydeのアップルに対する愛や、開店から閉店までに訪れてくれたお客さんに対する感謝の気持ち、そしてご両親への「ありがとう」の気持ちが伝わってきます。
さて、31日のレポを書く前に直前の土曜日の様子を少し・・・
自分は結局、最後は金曜日(この日、hydeからお店に電話がかかってきていました)土曜日、火曜日、そして31日の水曜日と行ったのですが、人数の多さでは、この土曜日が最高の混雑ぶりでした。
土曜日の夜は前日から訪れている(金曜日は、普通のアップルという感じでした)ネット友達4人を連れて、昼間は「ビストロアンジュ」(hydeのおじさんのレストラン)で食事をし、加太やその他のhydeゆかりの地ツアーをしてから8時丁度にアップルに入りました。
しかし、その時点ですでにカウンター席は満席状態で、仕方なくBOX席に・・・その後もどんどん人がやってきて、普段では認めない立ち飲み客が約30人、それでも入りきれない人が階段や外で仕方なくいるという状態・・・。やはりこの日は最後の土曜日ということもあり、県外の人がほとんどだったように思います。何度か来たことのある人が、あと何人かを連れてきているという団体が多く、7割の人は知らない人でした・・・。ほとんどの人が最初から最後まで帰らなかったので、入れなくて諦めて帰ってしまった人も含めて100人以上は、この日に訪れたと思います。終わったのは2時くらいで、マスターとママは休みなく注ぎっぱなしで、後日に「あんなのは開店以来初めてだった」と言っていました。
最後には涙を流して別れを惜しむ人もあり、ママは「今日が最後の人もいるから、なかなか終わりを言えなかった」という優しい面を見せていました。
日曜日(この日は行っていないけど、カウンターはほぼ満員)、月曜日の定休日(マスターとママにはいい休養になったはず)、火曜日(カウンターとBOX席が満員)は、知り合いの誕生日だったので、アップルでケーキを買ってきてお祝いしました。
さて・・・いよいよ31日です。
土曜日の件もあったので、8時前には入店(笑)この時点でカウンター席は半分くらい・・・やはり、この日は遠くからの人が少ないんだろうという気がしました。マスターは、例の通りロマンスグレイをバックにバシッと決めて、最近伸ばし始めたあご髭を撫でながら、「とうとう最後やな・・・」
渋めのアロハを着てカウンター内に立つマスターを見るのは今日が最後だと思うと感慨深いものがありました。まずは、いつもの通り水割りを注文します。
数日前にキープしていたボトルが空になってしまい、今さらキープもできないのでショットで注文。
昔からの常連さんで、いつも牛乳パックを持参してきて、ブランデーを牛乳割りで飲む中○さんの隣に座り、しばらくは懐かしい話をしながら一緒に飲んでいました。
10数年前に、当時デザイン学校に通っていたhydeがロゴをデザインしたというアップルTシャツを着ていました。(後に、この人はこのTシャツの為に何人もの人に記念撮影をせがまれていました)
しばらくして、ママがやってきて・・・「あっちゃんも最後に来てくれたんやねぇ~、嬉しい~」といつもと変わらない笑顔でした。
それからは、続々とお客さんがやってきて、とうとうBOX席まで満席になり、やはり立ち飲み客が出てしまいました。でも、この間とは違いやはり常連さんが多い・・・。
ある女の子は、僕も含めて「そうそうたる面々・・・」と笑っていましたけど(笑)
お店を始める前からのマスターやママの知り合いで、開店当時からの常連客の「長老」さん・・・若いお嫁さんがいて、マスターが「ウッドペッカー」と命名している「機関長」さん・・・顔がいかついからマスターがそのまんま命名した「暴力団」さん・・・hydeの同級生で、いつも奥さんと子供2人を連れてきていた「土○ちゃん」・・・1年前にアップルにやって来た女性と出会い、マスターとママに初デートまでついてきてもらい、マスター、ママも出席して先日ゴールインした「はじ○ちゃん」・・・40代にしていつも、アーティストの新曲を唄い、hydeがお店に来た時に本人の前で「DIVE TO BLUE」を唄ってしまったこともあり、週末にはいつも会っていた「りゅう○ち」さん・・・インディーズの頃からのファンで、ママと一緒にライヴハウスに一緒に行ったり、「Blurry Eyes」で POP JAMに出演した時に、作った服をhydeに着てもらったり、hydeが髪型を変えるといつも、それに合わせて髪型や色を変えていた「た○ちゃん」・・・そして、その友達の「服○やん」・・・それぞれの人とも、色んな想い出がありました・・・。
やはり、平日ということもあり12時前後には帰っていった人もいましたが、ほとんどの人は最後まで残ってアップルの最後を見守りました。
マスターの「今日はオールナイトじゃ~!」という掛け声が、なんか寂しくもありました。10時くらいからは、ラルクのカラオケのオンパレード・・・いつもは、他のアーティストの曲を中心に唄っている人まで、みんなラルク、ラルク・・・ママは、どの曲もお酒をつぎながら一緒に口づさんでいました・・・とても嬉しそうでした。でも、やはりどこかに寂しそうな表情をしていました。
この時点で、送られてきたりお客さんが持参した花で、店内は花でいっぱい・・・マスターは、いつもの通りお茶目さん・・・ボディビルのポーズをとったり、エロ話をしたり・・・でも、いつもはあれだけお酒を飲むと壊れきってしまうマスターが、最後まで酔いきれずにしっかりとしていた姿が印象的でした。
普段は2時を過ぎると終わってしまうのに、まだまだ終わる予感がない・・・カラオケは、常に5曲以上の待ち・・・全てラルク自分も結局何曲唄ったのか覚えていません。「虹」に至っては、3度以上かかった気がします(笑)
どの曲も盛り上がる・・・ほとんどライヴ会場のよう・・・こんなにすごいアップルは見たことがない。みんな、最後のアップルを悔いが残らないように心に焼き付けようとしているようでした。
でも、やはり終わりはきてしまいます・・・
「そろそろ終わるか・・・」のマスターの声とともに最後の曲は「Pieces」みんな唄っている・・・泣いている子もいる・・・アップル閉店が決まってから、初めて涙がこみ上げてきました。この曲がアップルで流れる最後のカラオケとはあまりにもピッタリすぎます。
詩の内容も、長い歴史に幕を閉じるアップルとあまりにもかぶりすぎて、そして、色んな想い出が蘇ってきました。ここで出会った人々・・・ここで起こった色々な出来事・・・マスターに一喝されて勇気が出たこともあった・・・ママに励まされたり、色んな悩みを話して一生懸命に一緒に考えてくれたり・・・涙は流さなかったけど、泣きたい気持ちでいっぱいでした。
でも、マスターは涙が嫌いですからね・・・絶対に泣かないと決めていました。
「Pieces」が終わった後に、「長老」さんが「とうとう終わってしもたなぁ」と静かにつぶやきました・・・。
カラオケが終わり、マスターが灰皿やら、使っているタンプラー一式や、余っているボトル・・・「全部持って帰れぇ~!」自分は、勿論自分が使っていた想い出いっぱいのボトルを持って帰りました。
ここで出会った人達と写したミニポラやプリクラが貼ってある為に、ボトルが空になるたびに中身を新しいボトルからこのボトルにママが移しかえてくれていました。それと、灰皿も貰ってきました。
「APPLE」の外のネオンが消された時に「あぁ、もうこのネオンが点くことは無いんだな」と実感しました・・・。
マスターとママに帰りぎわに「長い間、お疲れ様でした・・・おやすみなさい」と言いました。マスターは、「おぅっ! あっちゃん、また連絡するからな!」この時、すでに4時になろうとしていました・・・。
お店の外に出てしばらくいると、後片付けを終えたマスターとママが階段を下りてきました。
マスターはシャッターを閉め、マスターとママに最後にもう一度「おやすみなさい」を言いました。結局、ママは最後まで涙を見せませんでした・・・。
何度も危ない場面はあったけど、涙を見せることはありませんでした。
帰り道・・・何度もアップルに行くためだけに通った道・・・恐らくは100回以上は往復したであろう道・・・車を運転していて、それまで我慢していた涙が溢れてきました。途中で車を止めて自分でも信じられないくらいに号泣していまいました。
今まで、ほとんどアップル閉店というのが実感になかったんですけど、初めて実感した気がしました・・・。でも、きっと本当に実感するのは、週末に行くところが無いというのを経験する時なんでしょうね・・・。
閉店後、マスターはあのロマンスグレイの髪を坊主頭にする予定らしいです。
お店は、電飾もすべて外されて内装も全て壊してしまい、なにもかも無くなってしまうらしいです・・・。それは、マスターいわく「全然知らん奴に、残していったものを使われたくないから」という理由からのようです。
1階のファミコンショップ「ガリバー」はそのままで、2階のお店の部分は当分借りる人がない限りアップルの跡形を残さずに、そのままになるようです。
アップルで出会った大勢の人達に感謝をしたいです。
そして、喫茶時代の3年間を含めて24年の長い間、アップルを続けてきたマスターとママに言い尽くせないほどの感謝をしたいです。
さらに、それぞれの人達を巡り会わせてくれたhydeに・・・「THANK YOU」
最後の数日に訪れたファンの人達に必ず言っていたマスターの言葉を最後に贈ります。
「また、いつかきっと会えるで!これからは時間が出来るからライヴ会場で見かけたら声をかけてくれよ!」
P.S・・・
沢山の贈られてきた花の中に、ひっそりとスピーカーの上に置かれていた、鉢植えの白い胡蝶蘭の花がありました。そのメッセージカードには自筆でこう書かれていました。
「本当に長い間、お疲れ様でした・・・息子より」
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